2020年版日本人の食事摂取基準~カルシウム推奨量~

2020年版日本人の食事摂取基準が公表されました。 前回の国民健康・栄養調査からわかるカルシウムの重要性でもご紹介したように、30歳以上の男性のカルシウム推奨量が上がっています。

下記は、2020年版日本人の食事摂取基準のカルシウムの食事摂取基準の表です。

2020年版日本人の食事摂取基準で出されたカルシウムの推奨量は、骨量を維持するために必要な量として、要因加算法という方法によって設定されています。

要因加算法では、体内に蓄積されるカルシウム量,尿中に排泄されるカルシウム量,汗などから失われるカルシウム経皮的損失量を算出し,これらの合計を見かけの吸収率で割って推定平均必要量を求めます。

成人の場合は、体内に蓄積されるカルシウム量がほぼ0になりますので、尿中に排泄される尿中排泄量と皮膚から失われる経費的損失量により求められた「体から失われるカルシウムの量」を「見かけの吸収率」で割り、「推定平均必要量」を算出し、個人間の変動を考慮して「推奨量」としています。

 体から失われるカルシウムのほとんどは尿中から排泄され、体重が多いほど多くなります。 30歳~64歳の男性は、体重が全年齢のなかで一番多く、尿中から排泄されるカルシウム量も他の年齢に比べ多くなっています。 反対にカルシウムの吸収率は年齢と共に低くなり、男性では18歳から低下が始まり、30歳以上になると25~27%となります。

30歳以上の男性は体から排泄されるカルシウム量が増えるのに、カルシウムの吸収率が低下するので、体調維持のためには、より多くのカルシウムの摂取が必要となります。

さらに,加工食品に使われる添加物にリン酸塩が多く使われています。リン酸塩は,尿中へのカルシウムの排泄を増やすので注意が必要です。

また、今年は梅雨が明けて猛暑が続き、汗で失われるカルシウムも多くなっています。30歳以上の男性だけでなく、すべての人にとって、カルシウム摂取は健康維持に重要です。

水分補給の際には、塩分、カルシウム等のミネラル分の補給もできるスポーツドリンクを積極的に摂取するなどして、積極的かつ継続的にカルシウムをはじめとするミネラル分を補給するようにしましょう。 また、サプリメントでカルシウムやビタミンDを補給する場合は,上限量を良く見て適量を摂取するようにしましょう。

参考資料    厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 」