カルシウムの吸収促進に日光浴

この冬は暖冬と予想されていましたが、1月半ばから急に寒さが厳しくなってきました。ついつい外出が億劫になり、運動不足になってしまいますよね。家の中でも身体を動かしているから大丈夫!と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、外に出て日光を浴びることが、カルシウム不足から起こる疾病予防のために重要であることをお伝えします。

カルシウムが不足すると?」でも取り上げていますように、カルシウム不足は様々な健康への影響を引き起こします。骨粗鬆症をはじめ、高血圧や動脈硬化の原因となることもわかっています。では、カルシウム不足を補うために小魚や牛乳を多く摂りさえすればいいのでしょうか?

答えはNo!! カルシウム含有率が高い=吸収率が高いではありません。

カルシウムの吸収促進には、ビタミンDが深く関わっています。ビタミンDには、腸管や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成と成長を促す作用があります。ビタミンDが欠乏すると、小腸や腎臓でのカルシウムの吸収量が減少し、体内で利用できるカルシウムの量が少なくなってきます。その結果、小児ではくる病、成人では骨軟化症の発症リスクが高まります。特に高齢者では、ビタミンD不足が続くと骨粗鬆症による骨折リスクが高まるのです。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版(日本骨粗鬆症学会)」では、”骨粗鬆症予防にはカルシウムとビタミンDの十分な摂取が必要”としています。いくらカルシウムを積極的に摂取してもビタミンDが欠乏すると、カルシウムが効率よく吸収されず、カルシウム不足になってしまうのです。

ビタミンDは鶏卵やサケ、イクラ、干ししいたけ等に多く含まれています。

また、食品からの摂取以外にも、紫外線の作用下で皮膚でビタミンDを補うことができます。つまり、日光を浴びることにより、ビタミンDが皮膚で合成されるのです(ただし十分量ではありませんので、食事からビタミンDを摂取することは忘れずに)。

同ガイドラインでは、「骨粗鬆症の治療のためには、カルシウムの摂取とともにビタミンDも重要で、食事からの摂取とともに、1日15分程度、適度に日光を浴びることも必要である。」としています。

 

日光を浴びながら、散歩したり、ちょっとしたスポーツをすることにより、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを体内で作ることができ、さらに「骨量と運動」でお伝えしましたように、適度な運動が骨量減少を防ぎ、骨粗鬆症やカルシウム不足の予防につながります。

お天気のいい日は外に出て日光をいっぱい浴びながら、身体を動かしてみませんか?

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/syokuji_kijyun.html

一般社団法人 日本骨粗鬆症学会「予防と治療ガイドライン2015年版」

http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf