肩こりとカルシウム

10月に入り、秋の訪れを感じるようになりました。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、実りの秋・・・楽しみの多い季節です。虫の声をききながら、ゆっくり読書を楽しんでいたら、いつの間にか肩が凝ってしまった・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

肩こりの原因のひとつにカルシウム不足が関係しているのではないかと考えられています。今回は「肩こりとカルシウム」の関係についてお伝えします。

 

肩こりは、疲労、血行不良、末梢神経の圧迫で起こると考えられています。血行不良は筋肉を硬くする原因になります。実際に肩が凝っている時に凝った箇所を押さえてみると、固くなっていることがわかります。これは筋肉がけいれんを起こし、筋肉の緊張が強くなっているためです。この筋肉のけいれんの発生の原因のひとつにカルシウム不足が考えられています。

人体には血中のカルシウム濃度を一定に保つ仕組みがあり、カルシウム摂取量が不足すると、副甲状腺ホルモンが出て骨からカルシウムを取り出し、血液中のカルシウム濃度を調整します。

しかし、カルシウム不足の状態が続くと、副甲状腺ホルモンを出す指令が頻繁に出て、骨からカルシウムが過剰に溶け出し、余剰の血液中のカルシウムが血管壁や脳、軟骨、免疫細胞などに入り込んでしまいます。

余剰のカルシウムが血液を介して筋肉細胞に取り込まれると、筋肉細胞の中のカルシウムが増加し、筋肉は縮んで肩こりの原因となるけいれんを起こします。

さらに、血管の筋肉である平滑筋にカルシウムが入り込むと、筋肉を収縮させるため血行が悪くなります。体内に酸素を運ぶ血液の循環が悪くなるので細胞に酸素が足りなくなり、通常細胞内外の物質の出入りを制御し、細胞内の恒常性を維持している細胞膜の働きが弱くなり、細胞内へのカルシウムの流入を促進してしまいます。肩こりはこのような悪循環を起こすことにより、引き起こされるのではないかと考えられるのです。

カルシウム不足にならないようにすることは、肩こりの予防にも効果が期待できます。継続してカルシウムを摂取するよう心がけましょう。また、筋肉疲労を改善するビタミンB1や血行不良を改善するビタミンEなどのバランスの良い食事も大切です。

 

参考:カルシウムのすべて(藤田拓男著)「あき書房」