カルシウムを貯金しよう!

今年はアッという間に桜の開花宣言がなされ、春がやってきましたね!体を動かすのが心地よい季節になりました。さて、今回は「カルシウムを貯金しよう!」と題し、カルシウムと関わりの深い骨と運動についてお話したいと思います。

骨にカルシウムを貯めるには、まず、食物からカルシウムを多く、そして、吸収率の良い形(水溶性カルシウムなど)で摂取することが大切であることは、皆様もうご存知ですね?しかし、それだけでは不十分であることが、NASAの実験によりわかっています。宇宙飛行中のからだへの影響を調べるために、「完全休養」という「健康な成人をベッドに寝かせ一切の運動を行わせないようにする」実験を行った結果、骨量減少度は期間が長くなるほど大きくなり、84日後の時点では、平均値で1週間当たり約1%の割合にのぼることがわかりました。(図1) 通常の生活では、1年分の骨量の減少幅である1%が、たった1週間で失われるということです。この結果を見ても、運動不足が骨量減少を招くことは明白です。これは、骨は重力による刺激を受けることで、骨をつくる細胞が活発になるからなのです。

では、どのような運動をすると骨にカルシウムが貯金できるのでしょうか?それには、『重力に抗う』つまり、自分の体重を利用して行う運動が効果的です。(運動量の計算には、仕事量(力x距離)を用います。)

例えば、強度の高い運動と自分の体重を利用した運動の仕事量を比較してみましょう。 3kgのダンベルを60cm持ち上げる運動の仕事量 ⇒3kg x 0.6m = 1.8kg・m 体重60kgの人が高さ30㎝の台で行うステップ運動 ⇒60kg x 0.3m = 18kg・m どうでしょうか?1回の運動で10倍もの違いがあります。つまり、10回のステップ運動と同じ仕事量を得るためには100回ダンベルを持ち上げなければいけません。これは、大変ですね!

そこで、骨にカルシウムを貯金し、丈夫にするためには、できるだけ歩いたり、階段を上ったりといった運動を継続的に行うことが大切です。 特に野外での運動は、日光浴もできますのでカルシウムの吸収を助けるビタミンDを体内で作ることができて、一石二鳥です。 いかがですか、みなさんもお天気が良い日にはちょっと外に出て歩いてみませんか?

毎日歩くのが困難な場合、立ったり座ったりする動作でも骨に刺激が与えられます。 カルシウムをしっかり貯金しましょう!

出典:森谷敏夫 運動と骨形成 カルシウムその基礎・臨床・栄養 P138-142

小沢治夫 成長期の骨量と運動 カルシウムの基礎・臨床・栄養P143-149