カルシウム不足が高血圧を引き起こすメカニズム

生活習慣病の一つに高血圧症があります。
高血圧症とは、心臓が収縮して血液を押し出す瞬間の血圧(最高血圧)が140mmHg又は、収縮した後に心臓が広がる時の血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合を指します。放置していると血管が硬くなる動脈硬化になり、狭心症、心筋梗塞や脳卒中などの発作を起こすことがあり、命に関わる恐ろしい病気です。
高血圧予防というと、ナトリウムの摂取を減らす『減塩』がよく知られていますが、高血圧は、カルシウムの摂取不足でも起きることがわかっています。

今回は、カルシウム不足が高血圧を引き起こすメカニズムについて、ご説明しましょう。

血圧は『血液の量』と『血管の通りづらさ』とで決まります。従って、血管の内側が狭くなり血液が通りづらくなると、心臓は強い力で血液を押し出さなくてはいけなくなります。これが高血圧です。

では、どんな理由で血管の内側が狭くなるのでしょうか?
カルシウム摂取が不足すると、副甲状腺ホルモンが分泌され、カルシウムの貯蔵庫である骨からカルシウムが溶け出し、血液中のカルシウム濃度を正常に戻そうとします。また、副甲状腺ホルモンは、カルシウムを細胞内に取り込む働きもするため、血管の筋肉である平滑筋にカルシウムが入り、筋肉を収縮させます。この働きにより、血管の内側が狭くなり高血圧を引き起こします。

また、高血圧症の患者ではカルシウムの摂取量が少ない人ほど尿へのナトリウム排泄が少ないことが知られています。すなわち、カルシウムを多く摂るとナトリウム利尿(尿中にナトリウムが多く排泄)が起こり血圧が低下します。高血圧を予防するためには、過度なナトリウム摂取は控え、カルシウムを多く摂ることが重要です。また、この他にも肥満を解消し、適度な運動を習慣化するなどが重要ですので、皆さんも『減塩』『カルシウム摂取』+『規則正しい生活』で高血圧を予防しましょう!

参考:
厚生労働省 高血圧ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/kouketuatu/
藤田拓男 カルシウムのすべて(あき書房)103-118
Minds医療情報サービスhttp://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php